ピアノ練習で動画演奏を参考にするタイミングとは?


ピアノ指導者として、最近気になっていることがあります。

それは、演奏動画を参考にしている生徒さんがいることです。

現在では、初級レベルの曲であっても、検索すれば動画を見ることが出来ます。

もちろん、最初にどんな感じの曲か知るために動画を見てみるのはあり ( ○ ) です。

問題なのは、楽譜を読もうとせず、何度も動画を見て耳だけで覚えようとすることです。

耳コピは悪いことではありません。

ただ、早い段階からそれを繰り返していると、楽譜を読むこと自体が面倒になってしまいます。

耳に頼ることで、楽譜を読む力やリズムを視覚的に把握する力が、育ちにくくなります。

初級レベルでは通用しても、和音が出てきたり両手のリズムが複雑化すると、耳コピが限界を迎えて成長が止まります。

プロの耳コピは、沢山の楽曲に触れ、ソルフェージュや聴音などで鍛えられた力の上に成り立っています。

そのため、習い始めたばかりのお子さんの耳コピとは、記憶の仕方が大きく異なります。

楽譜を読まずに動画を何度も見ることで弾こうとすることは、山頂近くまで車で登ってしまうことに似ています。

裾野から時間を掛けて歩く人のように、動植物を観察したり山の空気を五感で感じることが出来ません。

当然、山登りで得られる体力、忍耐力、感受性も身に付かないのです。

先日、習い始めて半年のKちゃんに、「どんな感じか楽譜を見て弾いてみよう!」と新曲を弾かせてみました。

弾き終わった途端に、「この曲のここの所が素敵だった!」と目を輝かせて教えてくれました。

私は、この瞬間こそがピアノを習う価値だと思っています。

シンプルなフレーズであっても、自分が弾く音に感動出来ることは、とても素晴らしいことだと思います。

自分の指が奏でる音に耳を傾けることで、新鮮な気持ちで曲に向き合えます。

だから、動画を何度も見てもいいのは、譜読みが終わってからがベストなタイミングです。

出来れば複数の演奏を聴き比べしてみて下さい。1つだけだと、その演奏が良いとは限らない場合があるからです。

ちなみに、譜読みが出来ていない状態で動画を何度も見ると、指が滑って同じミスを繰り返してしまうことが多いです。

その曲を弾くための筋肉や柔軟性が出来ていないのに、動画と同じテンポで弾こうとするので指がもつれてしまいがちです。

間違った動きを何度も反復すると、直すまでに余計な時間がかかってしまいます。

『急がば廻れ』という言葉がありますが、ゆっくり練習して少しずつ仕上げた方が、最終的にはきちんとした演奏になります。

譜読み出来ていない段階で、どうしても動画が見たい生徒さんは、再生スピードを遅く設定した上で参考にして下さいね。


【動画を見るタイミングのまとめ】

 ①最初➡️雰囲気をつかむため。
 ②途中➡️スピードを遅く設定する。
 ③最後➡️複数の演奏を聴き比べる。

指導歴30年以上、TOEICスコア805点で英検準一級も保有する、歌って弾けるピアノ教師が記事を書いています♪

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