同じ曲でも、人によって演奏が変わります。これは、ピアノだけでなく全ての楽器において当てはまります。もちろん、練習頻度、練習時間なども原因の1つですが、それ以外の差がつく理由は、家での練習の仕方です。ピアノが上達したい、と思うなら、ぜひ家での練習方法を見直しましょう。演奏に安定感をもたらすためには『基本が大事(①②③)』です。表現力を上げるためには『普段の練習や日常で常に④⑤を意識すること』です。日々の正しい練習を積み重ねていけば、演奏が徐々に変わっていくでしょう。
リズムは、音楽の基本です。リズム感が悪いと、不安定でキレの悪い演奏になります。特に、拍子感は曲の安定感につながるので、早い時期から連弾やメトロノームに合わせる練習をしておきましょう。よくあるのが、どの音も芯の無い浮いた音になっているケースです。これはピアノのタッチの問題です。グループレッスンが長い生徒さんや、ピアノ専攻以外の先生に長く教わった場合に、この弾き方になりやすいです。テニスラケットのスイートスポットを捉えるように、鍵盤の真ん中を真っ直ぐ深目に押すと、響く音が出せます。美しい音の出し方の基本をきちんと身に付ければ、演奏がより上手に聴こえるものです。
初歩の段階から、正しい目線の動かし方を習得することが大事です。ピアノの譜面は他の楽器の譜面と違って、2段の楽譜を同時に読みます。そして、鍵盤の場所を確認しつつ、両手で違う音やリズムで弾き分けします。その時に、目の動かし方が下手だと、演奏も間違いが多くなる傾向があります。つっかえたり弾き直しのクセは、早目に直しましょう。『自分がラクに読める程度の速さで弾くこと』がコツです。
「急がば回れ」で、いきなり両手で弾かないで、まず『片手ずつしっかり練習してから』両手で合わせましょう。こんなシンプルな事?と驚くかもしれませんが、片手練習で手を抜くと、曲の仕上がりが違ってしまいます。脳は、間違いまでも正確に記憶します。弾く度に同じ場所でミスするのは、脳が高性能だからと言えるのです。つまり、『早い段階から正しい情報を脳に記憶させること』が、最も重要なことです。だから、最初は、速く弾きたい気持ちを抑えて、遅めのテンポで正しい音を弾くようにしましょう。私も、そんな脳の仕組みを知っているので、新曲に取り組む時には、かなり遅いテンポで練習し始めます。初期段階において、音のミス、リズムの崩れ、弾きかたのクセなどを無くして、フラットな状態にしておくのです。片手でも音楽的に弾けるようにしておくと、両手の演奏時にゆとりが生まれて、より立体的な演奏になります。 また、片手練習をすることで、両手で弾く時に音を聴き分け易くなります。つまり、耳の感度も上がるのです。耳が良くなると、音色やメロディーと伴奏のバランスも自分で分かるので、自然にピアノが上達するでしょう。
良い演奏がどんなものだか分かっていれば、それに近い音を出そうとして調節出来ます。料理人が様々な食材を探したり、実際に食べてみて味覚を磨いていくのと同じことです。音楽でもやりましょう。色々な音楽や良い演奏を普段から沢山聴いている人は、より耳の感覚が鋭くなり良い音楽が分かるようになります。パソコン入力のようにピアノを弾く生徒は、自分の音を聴く力が弱いです。耳が良くなれば、音楽は劇的に変わります。だから、ピアノテクニックと同時に、耳も意識的に磨く必要があります。CDやユーチューブも参考になりますが、やはり、生演奏を沢山聴くのをお勧めします。音が全然違うからです。演奏を実際に目の前で見て、身体全体で皮膚感覚も使って音楽を感じることが大切です。
どんなに小さい曲であっても、曲の雰囲気を表現しましょう。 その曲の情景を感じながら弾くと、生き生きとした演奏になります。表現力の原点は『イメージ力』です。楽譜は、役者の台本のようなものです。『生徒自身が曲のイメージを強く持って音で表現出来る』ことが大事です。何も考えないで弾くのは、セリフを感情を込めずに棒読みするようなものです。そういう演奏を聴くと残念に思います。表現力を上げるため、ピアノを弾くだけでなく、曲に関することを積極的に色々調べましょう。小説、絵、写真、作曲家の伝記などからも、曲の役作りのヒントが得られます。私がピアノを習い始めた頃、先生に曲に歌詞を付ける宿題を出され、自分で考えた言葉を書き込んで歌っていました。初歩段階から自分で歌詞を一生懸命考えたことで、曲をイメージするクセが自然と身に付いたように思います。イメージ力を養うためには、沢山の体験をすることや、色々なジャンルの本を多読することが非常に効果的です。 ミント音楽教室
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