月謝制の罠?金額に惑わされずに、レッスン時間と年間回数をチェックしよう!

2023年05月21日 20:45
カテゴリ: 保護者様へ


最近、スーパーで買い物をすると、食品の値上がりを強く感じる。

少しでも安く、と思って値段据え置きの商品を買うと、中身の量がかなり減っていて、逆にガッカリすることも多い。

米国では、shrinkとinflationの言葉を組み合わせたshrinkflation(目減りインフレ)という造語が使用されているそうだ。

ピアノ教室も同じだ。最近は、値上げする教室が徐々に増え始めたが、全体的な流れとまでは言えない。

その代わり、一回あたりのレッスン時間を減らしたり、年間の回数を減らし始めている教室が増えてきている。

消費者側に数字的に高く感じさせない実質的な値上げの方法だ。

極端なケースでは、月謝が5,980円で月一回のレッスンだったり、月謝が3,000円だけれど15分レッスン(!)だったりする。

一見お手頃な値段に見えても、年間回数やレッスン時間によっては、むしろ高くなってしまうケースもある。

個人的には、レッスン時間の短縮には疑問を感じている。ピアノは、反復練習が最も必要な習い事だからだ。

指の動きが特殊で運動神経も使うため、レッスンでも繰り返し練習して、その場で身体で覚えていくことが大事になる。

また、初期段階においてレッスンの間隔が空いてしまうことは、習得のスピードが遅くなってしまうことを意味する。

月謝が安いからと年間回数が少ない教室を選ぶと、次のレッスンまでに弾き方を忘れてしまうことも多くなる。

特に、子どもは、すぐ覚える代わりにすぐ忘れてしまうものである。毎週レッスンがある方が身に付きやすい。

だから、ピアノ経験者を除いて、お子さん、初心者、シニアの方には、月2回レッスン(年間24回)はお勧めしない。

参考までに、よくあるレッスン時間の3パターンと年間回数の一年間の合計レッスン時間を以下の表にまとめてみた。

20分レッスンの場合

24回8時間
36回10.7時間
40回12時間
44回14.7時間

30分レッスンの場合

24回12時間
36回18時間
40回20時間
44回22時間

40分レッスンの場合

24回16時間
36回24時間
40回26.7時間
44回29.3時間


【まとめ】

一年間のレッスンの総時間の数字を表にしてみると、その差は非常に大きいことが分かる。3倍以上も違う場合もある。

例えば、サッカーが上手くなりたい人が隔週で短時間のサッカー教室に通っても、おそらく上達は望めないだろう。

ピアノも似ている。知識だけではなく身体で覚える部分が多いからだ。

私は小学生の頃、15分程の短時間レッスンを受けていた時期がある。

先生は、他の曜日に振り分けもせず、一人一人の時間も決めずに、病院のように1日20人程(!)を来た順で教えていた。

当時は3冊の楽譜だったので、曲を一回ずつ弾いた後にワンポイントアドバイス、難しい部分だけ数回練習して終わりだった。

振り返ってみると、運動神経が発達するゴールデンエイジに、そんな乏しいレッスンしか受けられなかったことを悔しく思う。

同じ人間が同じ年数ピアノを習う場合は、レッスン時間や回数が多い方が上達しやすいことは明らかだ。

お金を本当に無駄にしたくないのなら、月謝だけでなくレッスン時間や年間回数もきちんと調べた上で比較してみよう!

指導歴30年以上、TOEICスコア805点で英検準一級も保有する、歌って弾けるピアノ教師が記事を書いています♪

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