私は、バイオリンを習った経験がある。期待と不安が入り混じる中で受けた初レッスンが、今でも忘れられない。
時間きっかりにレッスン室のドアを開けると、女優の波瑠さんを更に可愛くしたようなM先生が立っていた。
キラキラしたオーラを放つM先生の笑顔の美しさに衝撃を受けながら、「よろしくお願いします。」と頭を下げた。
そして、バイオリンのレッスンが始まった。
M先生は、外見と違って生真面目な人だった。バイオリンの楽器の細かい名称を、次から次へと早口で説明してゆく。
「これは、渦巻き。糸巻。棹。指板。弦。縁飾り。表板。響孔。緒止め板。塊柱。、、、。」
プリントも無く、先生の口頭だけでの説明に対し、私は毎回うなずいてゆく。
それらの名称を全て説明し終わった時に、M先生は、突然こう言い放った。
「はい。では、ここの名称は?」楽器の色々な部分を指差して、その名称を聞き始めたのだ。
もちろん、なんの予習もせずにレッスンに来てしまった私は、面食らった。最初は、まず記憶力を試されるのだろうか?
「はい。緒止め板。」「ここは?」「響孔。」「ここは?」「糸巻。」
全ての質問が終わると、M先生は大きな目を更に丸くして「全部答えられるなんて、すごいわねぇ!」と感心している。
褒めてくれたので、一応「ありがとうございます。」と私は答えた。(私は、ただただ必死だった。)
次に、バイオリンと弓を持って、実際に音を出すレッスンが始まった。
まず、バイオリンに顎当てをはめ、左肩の上に置く。それを顎でギュッと挟む。
右手は、弓を持つのだが、弦に当てて弾くと、「ギギ~。」と、耳元で不快極まりない音が鳴る。
M先生は、一生懸命に私の身体のフォームを直そうとしているのだが、上手くいかない。(なんせ、1回目のレッスン。)
困っているのが分かる。部屋を見渡してから「無いわ。」と呟くと、「私の後に付いてきて。」と部屋を出て行く。
バイオリンを抱えたまま着いた先は、何とトイレだった。「えーっ?何をするのー?」と思いながらも、中に入った。
M先生の目的は、鏡だった。女子トイレの大きな鏡を見ながら、2人並んでのバイオリンレッスンが始まった。
「バイオリンを練習する時には、鏡を使って弓の角度や姿勢を自分の目でも確認することが大事。」と念を押された。
そんなわけで、バイオリンの初回レッスンで驚いたことは次の3つだ。
●M先生の衝撃的な美人度
●謎の記憶力テスト
●トイレでの実技レッスン
※2回目のレッスンからは、部屋に鏡が置かれるようになった。
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