一昨日、ショパンの前奏曲の22番を練習していた。
短いながらも、聴く側に強烈な印象を与える曲だ。左手がメロディーで、右手のリズムが切迫感を加えている。
低音と高音が、たたみかけるような掛け合いになっているのは、まるで恋人同士の激しい口喧嘩をしているかのようだ。
指に馴染んできたから、もっと表現を大きくして練習してみる。
この曲の最初には、Molto agitatoと書かれている。作曲家(ショパン)が、曲のイメージを言葉で指示しているのだ。
イタリア語でmoltoは『非常に』、agitatoは『激しく、苛立って』という意味だ。ちょっと荒っぽく弾いてみよう。
イメージを膨らませながら、ピアノの音に集中していく。
最後に、動き続けた音が突然止まり、両手同時に非常に強く弾く場所がある。
恋人同士のケンカなら、怒り心頭で思い切り平手打ちするシーンだな、と思い浮かべながら、勢いよく鍵盤を押した。
その瞬間、弦が切れた。文字通り、「バチーン!」と。
調律師さんに電話すると、「もうそろそろかと思ってましたよ。」と言われてしまう。(一年に何度も切るタイプ。)
修理代は痛い。でも、平手打ちと思って弾いた音で弦が切れたということは、イメージを表現出来た、と言える?
※読者の皆様、私を怖がらないで下さい。あくまで、曲の描写をしただけで、私自身は温和な性格です!
●ピアノの弦が切れる時は、ものすごい音がする?
https://www.mintpiano.net/blog/45525/
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