音楽やアートなど芸術に関わっている人は、感性を大事にしている。
五感を磨くために、意識的に周りに刺激を求める傾向がある。
子どもの教育系の本や、サラリーマンの営業本でも、五感を高めることは推奨されている。
『五感を鍛える』ことは脳を活性化させ、集中力、思考力、想像力を高めるなど、様々なメリットがあるらしい。
でも、私は、意識していないのに『短期間で劇的に五感が発達した』という体験をしている。
まるで胡散臭いハウツー本の見出しのフレーズのような経験だが、それは果たしてどんな時だったのか、説明しよう。
海外の島に滞在した時のことだ。安い宿を探して予約し、その場所に着いた。
泊まる予定の海辺のコテージ(はっきり言えば小屋)の部屋に入ると、スイッチがどこにも見当たらなかった。
「ライトのスイッチはどこ?」とスタッフに聞くと、「どうぞ。」とキャンドルを手渡された。電気が無かったのだ!
夜は真っ暗だ。暗闇に目が慣れない。しかし、数日後、かなり見えるようになったのだ。満天の星空も最高だった。
なぜか、キャンドルの光が明るく感じられるようになる。むしろ、リラックス出来て快適だった。
その光で読書をすると、自然界のBGMが心地よいせいか、内容が普段よりすーっと頭に入ってくる気がした。
電気は無いが、食事付きだ。なんと、毎朝、日の出と共に、街からトラック(荷台に人が沢山!)でスタッフがやって来る。
彼らは、食事を作ったり掃除や雑事をこなし、日暮れと共にトラックで街に戻っていく。なかなか面白い光景だった。
当然、夕食は太陽が出ている早めの時間に終える。部屋には冷蔵庫も無い。あるのは、常温のペットボトルの水だけだ。
そうすると、14時間くらい何も食べない状態になる。プチ断食に近い。すると、朝食がやたら美味しく感じる。
食べる時に、素材本来の香り、味、香辛料などが、ガツンと脳に伝わってくる。とても贅沢な気持ちになったものだ。
また、波の音以外に、風の音、鳥や動物の鳴き声、人の話し声など、周りの音に敏感になり、ごく小さい音も聴こえる。
毎晩暗闇で過ごしているうちに、危険を察知しようと、人間が本来持つ動物的な防衛本能が作動し始めたようなのだ。
それ以外にも、ビーチで過ごして、砂の色が違うだけでなく、手触りすらも違っているということにも気が付いた。
残念なことは、電気のある生活に戻った途端に、敏感になったはずの感覚が全て元通りになってしまったことだ。
便利な暮らしは、人の五感を鈍らせてしまう。分かっているけれど、電気のある生活を手放すことは、実際には難しい。
だから、電気が無い生活を体験するなら、キャンプが一番オススメだ。もちろん、五感が磨かれること間違いなし!
※家族でキャンプを楽しみたかったのだが、子どもがスポ少に入ってしまい、その計画は崩れ去った、、、。
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