一昔前のピアノの先生は、結婚相手がお医者さんだったり経営者など高収入の人が多かったように思う。
最近では、不名誉なことに、ピアノの先生は、男性が結婚したくない女性の職業の上位にランクインしているらしい。
不況下では、女性にも経済力が求められ、お嬢さんのイメージが結婚相手として悪い方向へ拍車をかけているようだ。
ちなみに、私の同年代の同業者は普通のサラリーマンと結婚している人が多い。
しかも、不思議なことに、相手はそれほど音楽好きでもない人も結構いるのだ。
本来、ピアノの先生は、結婚するなら音楽への情熱や生き方を理解してくれる相手が望ましい、と思っている。
その点、同業者や音楽の仕事をしている人は、そのことを理解してくれるというメリットがある。
しかし、良くも悪くもお互いの才能やセンスが明確に分かってしまうというデメリットがある。
ふとした物言いで、演奏スタイルや仕事のやり方の的を突いて、劣等感を刺激したり、時にうるさく思われてしまう。
それに、才能があったとしても仕事に直結するとは限らないのが音楽の世界だ。
生活では、経済力に対する不満や嫉妬も出てくるだろう。
友人の師事したピアノの教授は、奥さんもピアニストだったそうだ。
家に二つのレッスン室があり、お互いの音が聴こえないように完全防音にしているそうだ。
それぞれが、自分の音楽をより高めることに没頭している。同じ楽器同士だから、大変さも分かり合えるに違いない。
けれども、おそろしく練習時間が長いのがピアニストだ。つまり、シェアハウスで暮らしているような感じになる。
また、ミュージシャン同士では、夜の演奏や地方の仕事など、お互いの仕事がバラバラで一緒の時間を過ごせない。
つまり、時間的なスレ違いにより夫婦間の溝が生まれ、離婚率が高くなりがちなのだそうだ。
そういうわけで、音楽に詳しくないサラリーマンの旦那さんの方が結婚が長続きする。ある意味、気がラクなのだ。
ピアノの先生の子どもが、音楽にのめり込む割合が意外と低いのは、そんな旦那さんの遺伝子のせいも一理ある?かも。
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