スティーブ・ジョブズの有名なスピーチがある。点と点についてだ。長いので、抜粋を紹介する。
So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
(だから、君達は、点と点が将来に何かしらの形でつながっていくことを信じなければいけない。)
この場合のdots(複数形)とは、関係性がなくバラバラにやっていることを表す。
全く役立ちそうもない経験が、あとから他の分野とつながって実を結んだ、という彼自身の体験を比喩している。
私も、「点と点が繋がった。」と感じたことがあった。
私の妹もピアノを弾く。趣味なのだが、発表会に向けて大曲に挑戦している。
「スゴいね。その曲は講師演奏のレベルだよ。ピアノ頑張ってるんだね。」
「でも、ピアノを練習してると指も手首も腕の筋も痛くなって、痛みとの闘い。お姉ちゃんは痛い時はどうしてるの?」
「肩凝りとか疲れは感じるけど。そういえば、ピアノを弾いてて指や手首が痛くなったこと、ほとんど無いかな。」
「えーっ、本当?お姉ちゃんは手首が強いんだね。」「そうかな?」「普通は、どこかが痛くなるよ。絶対そうだよ。」
確かに、ピアノを弾く友人達の会話で手の痛みは話題になる。専門にする人達は練習時間が長いから無理もないと思う。
けれど、私は演奏の仕事をしていた時期でも痛みを感じたことはあまり無かった。手首が強いとしたら、なぜだろう?
思い出したのは、保育園時代だ。のびのび型(放任)だったので、時間割もなく各自が好きな遊びをしてよかった。
私が好きだったのは、登り棒と鉄棒だった。特に、登り棒の竹の感触が手や足に心地良くて大好きだった。
登りと下りのスピード感の違いも面白くて、バカみたいに繰り返して遊んでいた。ワクワク感と楽しさを覚えている。
そのせいか、学生時代は、運動部ではないのに腕立て伏せは50回、高鉄棒での懸垂も男子並みに15回くらい出来た。
人より筋力がある方かも、と気付いていたけれど、直接役立つ経験も無く、ピアノと結び付けて考えたことも無かった。
でも、幼少期に登り棒や鉄棒で沢山遊んだことで、強い手首や腕力が作られたとしたら、すごい偶然ではないか?
その時期の私は、まだピアノを始めてもいない。純粋に楽しいと感じて登り棒で毎日遊んでいただけだ。
しかし、視点を変えてみれば、その体験がピアノを弾くための身体作りの一因になったかもしれない。
だから、一見ムダに思えるようなことが人生で生かされる、ということは実感出来る。
ただ、スティーブ・ジョブズの言葉のように、その当時には気付かず、時間が経って振り返った時に初めて分かるものだ。
You can only connect them looking backwards.
そう考えると、人生は結構おもしろい。
ちなみに、スポーツメーカーのホームページの説明によると、登り棒で身に付く能力は次の5つだそうだ。
筋力、持久力、リズム感、瞬発力、器用さだ。驚くことに、どれもピアノを弾くために欠かせない要素ばかりだ。
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