神田沙也加さんが、亡くなった。ミュージカルの公演期間中だったという。
私は、ミュージカルが好きなのだが、彼女が出演していたのが『マイ・フェア・レディ』だったので、なおさら驚いた。
ミュージカル女優の誰もが、喉から手が出るほどにやりたい名作の主役の座を掴んでいたのだ。
私は、以前、大地真央さん主演の『マイ・フェア・レディ』を観たことがある。まるで夢のような舞台だった。
脚本も音楽も衣装も素晴らしく、脇役も魅力的で、観る者全てを幸せな気分にさせてくれる楽しいミュージカルである。
貧しい花売り娘が、正しい発音やマナーを学び美しい女性に変貌を遂げ、最後には愛をも掴むシンデレラストーリーだ。
果たして、こんな素晴らしい舞台に主役として立ちながら、命を断つような気持ちになる俳優さんがいるのだろうか?
神田さんは、ディズニーのアニメ映画『アナと雪の女王』でアナ役に抜擢され、それを好演して人気を博していた。
明るく元気で真っ直ぐな心を持つアナ役から、神田さんはアナのような性格なのでは、と思う人も多いだろう。
『マイ・フェア・レディ』の主役のイライザも、貧しい点を除けば、明るく元気で、アナに似たキャラクターだ。
想像だが、神田さんは「松田聖子と神田正輝の娘」という呪縛から逃れられず、葛藤しながら生きてきたように思う。
だから、むしろ、エルサタイプだったのではないか。自分の才能を信じきれず、常に、周りに怯えていたのではないか。
でも、彼女の伸びやかな声には、誰にも真似出来ない特別な魅力があり、表現力もあった。
アナ雪のエルサのように、自分の才能や個性を認めて、ありのままに人生を歩んで欲しかった。
雪の上に倒れ、その身体の上にも雪が積もっていたという報道を聞いて、神田さんは、やはりエルサだった、と感じた。
オリジナルの記事を載せています。当サイト内の文章、情報(内容)、写真等の無断掲載及びリライトは、ご遠慮下さい。