日本では、年末になると、あちこちでベートーベンの第九のコンサートが開催されるのが恒例だ。
近年は、コロナ禍で中止になる場合も多いが、感染対策をしたり、合唱の人が動画参加など新しい試みもあるようだ。
通称『第九』は、交響曲第9番の省略形である。第四楽章に合唱が入る。(『歓びの歌』とも呼ばれる。)
私の友人は、ベートーベンの交響曲の中に『運命』や『田園』があるので、最初は『大工』だと勘違いしていたらしい。
『大工』という曲なら、重いものを運ぶ情景、金づちの響く音が再現されるのかな?と思い浮かべ、笑ってしまった。
さて、私はピアノ専攻だが、学生時代に第九の合唱を経験している。本番の半年前くらいから、毎週指導を受けていた。
リハーサルの時に立ち位置が決められ、私は声楽専攻の先輩の隣になった。学内演奏などでも一際目立つ存在の人だ。
すごく歌が上手で綺麗な人の隣で一緒に歌えるなんて、私はラッキー、と気分が上がった。(ちなみにソプラノパート)
さて、本番が始まった。合唱団はオーケストラの後ろに座り、会場を見ながら第四楽章の出番まで静かに待つ。
第一楽章から、第二楽章、第三楽章と、ベートーベンの音楽の世界に包まれて、徐々に気持ちが上がっていく。
第四楽章になり、立ち上がって合唱が始まった。やはり、みんなで歌うと迫力が違う。しかも、オーケストラの伴奏だ。
でも、驚いたのは、隣の先輩の声の大きさである。振動が身体に直に伝わってくる。(リハーサルでは手を抜いていた?)
私は、声楽の人の歌声を離れた場所から聴いたことはあったが、すぐ隣(耳元)で生声を聴いたことは無かった。
圧倒されるような大声につられて、私は人生で一番大きな声を出したと思う。火事場の馬鹿力のように全身で歌った。
だから、第九を初めて歌った後の私の正直な感想は、感動した、楽しかった、お腹が空いた、の3つだ。
※機会があれば、佐度裕さん指揮する一万人の第九のコンサートに参加してみたい。
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