ピアノの先生の多くは、ピアノを教える仕事だけをしている。大手音楽教室か自宅レッスン、または、その両方だ。
でも、若い先生や一部の先生は、当たり前のように他の仕事を掛け持ちしながら生活をしている。
ピアノの先生の副業に関するネット記事を読むと、情報を拾ってまとめただけのリアルさに欠けているものが多い気がする。
私は、30代まで掛け持ち派だったので、同じように副業をしているピアノの先生と知り合う機会も多かった。
そこで、私の経験も含めて、知っている範囲でのピアノの先生の実際の副業例を幾つか紹介。
【ウェディング】
・チャペルでのオルガン演奏。
・生ピアノでの披露宴のBGM。
※音楽派遣会社に登録する。
※季節によって忙しさが違う。
※白黒の衣装が定番。
【レストラン、バー、ホテル】
・生ピアノの演奏。
※雰囲気に合う服装を着用。
※個人契約や紹介が多い。
※沢山の曲を弾ける力が必要。
【音楽系派遣会社の仕事】
・事務、営業、マネジメントをする。
派遣社員に仕事を振り分ける仕事。
(演奏者を探したり、面接もする。)
【高校、大学、専門学校の非常勤講師】
・音楽やピアノの授業を担当する。
(生徒が数人だけの時もある。)
【カルチャーセンターの講師】
・趣味が高じて手芸系講座の先生。
(やはり、手先が器用なのかも)
【リトミック教室】
・幼稚園、保育園、公民館で行う。
・たくさんの親子を集めて音楽で遊ぶ。
(幼児教育出身の先生が多い。)
【音楽療法士】
・障害のある子ども達や高齢者に向け、
音楽を通して心身のサポートをする。
・場所は、施設、病院、老人ホーム。
(ボランティア意識の高い人が多い。)
【塾の先生】
・公文、学研など。
小学生に国語と算数を教える。
(教える仕事なので共通点が多い。)
【自営業の旦那さんの手伝い】
・事務や雑用などの仕事。
(まれに、農業の人もいる。)
【パート勤務】
・飲食店、事務職など。
(生徒さんに会わない場所を選択。)
(優秀店員として表彰される人も。)
【お葬式】
・キーボードで故人の好きな曲を演奏。
(演歌を頼まれる場合もある。)
・突然の仕事なので独身者向き。
(短時間で曲を仕上げる瞬発力も必要。)
【老人ホームなどでの演奏活動】
・慰問として演奏をする。
・唱歌や懐メロが主流になる。
(謝礼が交通費程度の時もある。)
【レッスン教材の販売】
・手作りの教材を通販で販売
・ダウンロード教材を販売
【まとめ】
このように、音楽関係の仕事、教育関係の仕事、または全然違う職種で働くピアノの先生がいる。
実際には、仕事を掛け持ちすると、移動や準備にも時間を取られて、とても忙しくなる。
ウェディングの仕事では、清潔感や品や華やかさやも求められる。
そもそも演奏の仕事は、常時レパートリーが何十曲と必要になる。時にお客様からリクエストも受ける。練習が欠かせない。
私がバーでピアノを弾いていた時には、お客さんのお気に入りの曲を覚えて、その方が店に来たら、すぐ弾き始めていた。
また、教育の仕事は、カリキュラムのための準備に時間がかかる。自らも勉強し続けなければならない。
事務系は数字を扱うから神経を使うし、飲食店はお客様に対して気を使うし、立ち仕事のため体力的にきつい。
いずれにせよ、体力や気力が必要だ。そのため、体調や時間の管理、気持ちの切り替えが上手にならざるを得ない。
だから、比較してみると、副業の経験があるピアノの先生の方が、腰が低くて社会性が高い傾向にあるように思う。
様々な職種の人と話す機会が多くなり、ピアノ指導とは違った気遣いや適応力も求められるからだろう。
コロナ禍で、演奏の仕事は急激に減っている。お店のピアノも、自動演奏タイプに切り替わったりしている。
同様に、コロナ禍でピアノの生徒が減ってしまい、新たに副業を始めているピアノの先生も増え始めている。
これからは、映画『おくりびと』のように、意外な場所で働く音楽人が、もっともっと増えるに違いない。
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