ピアノの発表会の舞台袖では、5人程度の生徒さんが椅子に座っていて、緊張しながら順番を待っている。
そして、その近くには先生達が待機している。舞台袖では、先生と生徒さんが直前のやり取りをしている。
どの先生も、小さな生徒さんには手厚くケアをする。様子を観察して、言葉かけや優しくボディタッチなどをしている。
慣れてきた生徒さんには、「ここを注意してね。」と楽譜を指差したり、具体的なアドバイスをしている先生もいる。
私は、初めての生徒さん以外は、あまり細かくケアしないタイプだ。
「緊張してる?」とか「大丈夫?」という言葉は、意外にも不安を増長させる。意識がそこに向かってしまうからだ。
また、「あの部分に気を付けて。」と具体的なアドバイスをすると、普段絶対に間違えない場所でつまづいたりする。
結局、「普段通りにね。」「大丈夫!」「今日の格好、すごく素敵」など、無難なことしか言わないことに落ち着いた。
緊張下では、周りの言葉が思わぬ方向に誤作動することがある。影響が無いように、なるべく言葉を少なくしている。
基本的には、本人の力を信じて、自分で緊張を乗り越えてもらう方針だ。
そんなわけで、私を冷たい先生だと思わないで欲しい。心配顔を見せないのも指導者の役割だと思っているのだ。
もちろん、演奏後は、言葉を選んで念入りにケアをしている。
※指導法と同じで、本番直前のケアも人それぞれ。共通するのは、「本番は何が起こるか分からない。」という考えだ。
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