ピアノの先生は、色々な曲に興味を持ち、手を出している。だから、弾きかけの曲がたくさんある。
私の場合、発表会や仕事で弾く場合は、きちんと仕上げるが、それ以外の曲は8割程度仕上げたら一旦放置してしまう。
これを聞くと、私が飽きっぽいタイプだと思う人もいるかもしれない。
でも、曲との関係は、恋愛関係に少し似ている。あまりにも毎日接していると、客観的に見られなくなってしまうのだ。
いったん距離を置くことによって、曲の新鮮さを感じたり、新たな発見をして、より深く理解出来るようになる。
だから、ワインのように、仕込んだあとに寝かせる必要がある。自然に熟成するのを待つような感覚だ。
外山滋比古の『思考の整理学』(筑摩書房)という本の中に、的を得た表現があったので、一部を紹介する。
「やはり、ナベを見つめすぎるからであろう。ナベにも煮えるのに自由な時間を与えなくてはいけない。あたため、寝させる必要がある。思考の整理法としては、寝させるほど大切なことはない。思考を生み出すにも、寝させるのが必須である。」
ただし、ピアノ曲の場合は、寝かせる期間が長過ぎると、最初は指が動かないこともある。程よいタイミングが大事!
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