ドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』を毎回楽しく見ていた。
夫からは、「おっさんばかりのドラマは見る気がしない。」とバカにされているが、私にとって息抜きになっているドラマだ。
私の推しキャラは、吉田剛太郎が演じる黒澤武蔵だ。
見た目は渋くて仕事が出来る男なのに、中身は健気な片思い乙女、というギャップが、ツボにはまってしまっている。
今回のシリーズは、話が多少バタバタしていて、キャストとスタッフがやりたいように作っている感じがしないでもない。
ドラマ仕立てにお笑い要素とアドリブをミックスしたような構成は、各々が即興をするジャズ音楽に似ているような気がする。
そんな中、第8話の井浦新さん演じる和泉のセリフに、心を掴まれてしまった。
「大切な人には会えるうちに会っておいた方がいいと思います。当たり前にあるものが明日もあるとは限りませんから。」
それを聞いて、思わず涙ぐんでしまった。
私は、コロナ禍以前は、月一回のペースで7年間ジャズ仲間と練習をしていた。ボーカルとして参加していた。
年齢層は20代から80代と幅広く、職業も様々な人が集まってセッションしていた。
しかし、コロナ禍になってからは、私は練習を控えていた。生徒さんに感染させるリスクを少しでも減らしたかったからだ。
声楽に重きを置いたり、プライベートでも忙しくなってしまったので、落ち着いてから、と行くのを先延ばしにしていた。
ところが、そんな矢先、年末に音楽仲間の1人のギターのMさんが急死したことを知らされた。
中肉中背で、あまり病気に縁がなさそうなMさんの突然の訃報にショックを受けた。
Mさんは、いつも穏やかで、カウンターに座っていた。ギターを愛おしそうに丁寧に取り扱っていたのが印象的だった。
毎月会って、みんなで色々な曲を演奏したり聴いたり曲について話したり、時間を共有した音楽仲間の1人だった。
特に、ギター伴奏でボサノバの『Corcovado(コルコバード)』を歌った時のMさんの表情が思い出される。
Mさんに、もっと感謝の気持ちを伝えたかったし、音楽の話もしたかった。でも、それはもう叶わない。
ところで、3月は気温が暖かくなり、春が訪れる嬉しい季節であると同時に、別れの季節でもある。
習い事の教室では、一部の生徒さんが、引っ越し、進学、その他の理由で辞めてしまう時期だ。
どの先生達も、生徒さんとの別れの度に、とても寂しい気持ちになる。マンツーマンレッスンなら尚更だ。
それが突然だった場合には、心にぽっかり穴があくような気持ちになる時もある。
でも、どんなに頑張っても、永遠に続くレッスンはない。当たり前のように毎週繰り返されるけれども、期間限定なのである。
だからこそ、普段から毎回のレッスンでの会話や交流をより大事にするように心掛けたい、と思う。あとで後悔しないために。
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