皆さんは、『ザイラトール』という英語を聞いたことがありますか?
実は、ほとんどの人が知っていて食べたことのある物の名前です。
答えは、『xylitol』(キシリトール)です。
歯医者さんの間では常識のようで、色々なブログにもそのことが書かれています。
そこでは、ほとんどがザイリトールと紹介されていますが、正しい発音はザイラトールです。(軽いアが入るため。)
ちなみに、キシリトールガムは1997年に登場しています。その歴史は、まだ30年にも満たないのです。
でも、なぜ英語が主流の中で、その発音を採用しなかったのか?と疑問に思います。
というわけで、私なりに商品名についてのミーティングの比較検討の過程を想像してみました。
日本人は、言葉の響きに敏感です。ネーミングに関して、社内では相当な議論がなされたに違いありません。
ザイラトールにした場合は、ザから始まります。ザというのは、摩擦音のために、力強さがあり響きが濁っています。
ザから始まる言葉は、雑音、残念、残酷、雑草、雑魚など、ややネガティブな印象が多いです。
ザイラトールはリズム感はあるものの、怪獣の名前のような、下剤、又は洗剤みたいな感じがします。
一方、スエーデン語のキシリトールは、キで始まります。
綺麗、厳しい、キチンと、キッパリ、キンキン、貴族など、カ行の言葉は固いイメージも併せ持ちます。
ガムを噛むことで歯を守り強くするという意味でも、そのイメージはプラスに働くのではないでしょうか。
ちなみに、フィンランド語とドイツ語だと、発音はクスリトールです。
同じカ行でも、クは母音uを含むために、キよりもマイルドなこもった響きになります。
さらに、クスリトールの場合には、何となく薬品や添加物をイメージさせてしまうに違いありません。
商品のネーミングは、セールスの上で大きな影響力を持ちます。
あれこれ意見が出て、最終的にキシリトールになったのでしょう。
もし、商標名がザイラトールだったら、ここまで認知度は上がっていたでしょうか。
英語を学んでいると、ありとあらゆる文化圏からの言葉が入り混じっていることに気付きます。
それらが日本語になった時、予想も付かないような言葉に変換されていることがあります。
外来語のカタカナ表記と実際の発音の違いなども、日本人の英語の苦手意識に拍車を掛けています。
確かに、キシリトールは爽やかさも感じられる良いネーミングだと思います。
でも、英語推進派としては、せめてガムの容器の端っこに「英語ではザイラトールという発音」と書いて欲しい気もします。
※中学生の生徒さんも、「えーっ!Xから始まるのに、そんな発音なの?」と驚いていました。
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